2020年 12月 08日
韓国ドラマ「スタートアップ」の”主人公”はハンチーム長だった
メインキャストとはいえ主人公ではなかったのに、ストーリーが進めば進むほど、私にとっての「スタートアップ」は、ハン・ジピョンの成長物語になりました。
あらすじを簡単にまとめると、祖母と2人暮らしのソ・ダルミが幼い頃に文通をしていた、顔も知らない初恋相手ナム・ドサンと15年ぶりに「再会」し、一緒にスタートアップ企業を立ち上げて奮闘していく物語。
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▼ハンチーム長の魅力1:強気な発言と実は脆いところのギャップ
立派な仕事に、高級マンション、高級車、高級時計まで全てを手にしているハンチーム長は完璧なスペックの持ち主。さぞ順風満帆な人生を歩んできたかとかと思いきや、実は児童養護施設育ちで身寄りがなく、わずかな自立支援金とともに施設を出た後、住む場所も頼れる友人もいなかったところから現在の地位まで登りつめた苦労人。
▼ハンチーム長の魅力2:自分に不利なことも正直に話す
ダルミの初恋相手は自分だったと、手紙を書いていたのは自分だったと、さっさと明かしてしまえばいくらでもダルミを振り向かせることができたのに!嘘のアドバイスをしてドサンの会社を失敗させることだって、ダルミのキャリアのためにはならないけれど、自分に恋心を抱かせるような優しい言葉をかけてあげることだってできたのに!そうはしなかったハンチーム長。
そんなジピョンの姿をダルミは知らないのだと思うと、もったいない!と何度も地団駄踏みました。あの姿を見たら、絶対ジピョンのことを好きになったはずなのに!でも、そういう姿を見る見ないのタイミングとか、そういうもので人生は決まっていくんですね。全てはタイミング...
キム・ソノ本人も「自分なら正直に名乗り出ていたと思う。そうしたらドサンの場所にジピョンがいたのかな?と思うけれど、それも違う気がするし。ダルミとドサンは縁があったんだと思う」とコメントしていました。
▼ハンチーム長の魅力3:ハルモニの前でだけ見せる涙
ハルモニの前では、強気なハンチーム長から優しいジピョンに戻るところにキュンキュンし、涙しました。特に12話と16話は後世に語り継ぎたい名シーンでしたね。
ハルモニがつけた大人しい子、素直な子、純真な子という意味の”スンドゥンイ”という呼び名も愛情溢れていて良かったし、”スンドゥンイ”と”ジピョン”を呼び分けるところも良かった。
#12話
ドサンと殴り合いのケンカをした後、傷だらけの顔でハルモニを訪ねたジピョン。ハルモニに抱きついて泣く姿は、ずっと独りで耐えてきたジピョンの15年分の涙だったんじゃないかと思いました。T^T
tvn公式Twitterに動画が上がっています(こちらから)。
ハルモニ「顔どうしたの?殴られたの?」
ジピョン「殴られたんじゃなくて、ケンカしたんです」
ヨリを戻したダルミとドサンの幸せそうな様子を前にして笑顔だったハルモニが、ふと見せた暗い表情が全部語っていましたね。孫の幸せを喜ぶ気持ちと、孫のように可愛がっているジピョンの失恋を悲しむ複雑な気持ちを表情ひとつで語ってしまう役者さんは、本当にすごい。
その後、ジピョンのマンションを訪ねたハルモニとの会話は、涙なくして観られませんでした。T^T
こちらはスタートアップ公式インスタグラムに上がっています(こちらから)。
ジピョン「何か必要なものはありませんか?」
ハルモニを演じたキム・ヘスクさんがキム・ソノに対して「必ずまた共演したい」とコメントしていたのは、いち視聴者としても嬉しかったです。必ず実現してほしい(賢い医師生活シーズン2で実現したら、最高なんですが)!
キム・ヘスク先生との共演については、キム・ソノ氏本人がNetflix公式動画で詳しく語っているので必聴です(こちらから。字幕ないのですが...)。12話のシーンの撮影前と撮影後には、ずっと涙が止まらなかったとか。ちなみに視聴者が、ジピョン!もったいないよ!て感じたところは、演じていたご本人も同じように感じていたようで安心しました。笑
ダルミへの片思いの終わらせ方もジピョンらしかった。ダルミにもドサンにも直接的なことは何も言わず、言わせず、誰も傷つけない。逆に言えば、全部を自分で背負い込む終わり方でした。
ダルミの初恋で、文通相手だったジピョンに対してずっと引け目を感じていたドサンには「僕に対して劣等感なんて感じず、ただダルミを見ればいい。そうしたら彼女が好きな人が分かる」とアドバイスを与え。
辛い時期を支えてくれた文通相手であり初恋相手だったジピョンを選ばなかった負い目を感じているダルミには「ありがとうも、ごめんなさいもいりません。手紙には僕も慰められたから、おあいこだし、僕は15年間あなたを探そうともしなかったけど、ドサンは手紙を読んだその日に、自分の意思であなたに会いに行った。だから、あの手紙の相手は僕ではなく彼。だから謝る必要もないんです」と言い切って去っていったジピョン。
次は、ジピョンが弱さを見せられる、素直になれる相手に出会えますように。
ハンチーム長(常務になったけど、私の中では永遠のチーム長)は、愛のある毒舌で多くのスタートアップを助けていくんだろうなと、幸せな気持ちで終われました。
ドサンのことをうだつの上がらない負け犬だと見下し、ダルミのことは何も知らない守らなければいけない存在だと思い、ハルモニに対してもお金を返すことでしか恩返しの方法が分からなかった、上から目線で不器用なハンチーム長が、自分とは違う方法で前に進んでいくダルミやドサン達に学び、ハルモニの優しさに愛を知り、子ども時代の傷を癒して成長していく姿が、このドラマのハイライトでした。